
CTGを読む前に、まず記録そのものの「設定」を理解することが大切です。CTGの記録紙は通常、走行速度3cm/分に設定されています。この速度を知らないと、波形の横方向の時間軸を正しく理解できません。例えば「下降(徐脈)が何秒続いているのか」「回復にどれくらい時間がかかったのか」を読み違えると、徐脈が軽度なのか、高度なのかの判断を誤ってしまうことにつながります。縦軸は上段が胎児心拍数で、下段が子宮収縮を表しています。胎児心拍は児背側で心音がはっきりと聴取できる部位にプローブを装着します。収縮計は子宮底に置き、子宮収縮がきちんと計測できるようにベルトもしっかり調節します。プローブの装着が悪いと心拍数の波形にノイズが混在し、波形が判読しづらくなります。また収縮計がきちんと装着されていないと収縮が正確に記録できません。CTGは心拍数の変化と子宮収縮の関係から胎児の状態を評価をするものであるため、きちんと装着できていないと正しい判読が行えず、判断することが難しくなります。きちんとプローブが装着できているか、設定は間違っていないか、収縮計のゼロ調節が適切かなど確認し、正確な波形が記録できていない場合にはプローブや収縮計の位置を調節し直す、ベルトの調節をし直すなどしてみましょう。
基線(baseline) とは、胎児心拍数の平均的な高さを指します。基線を正しく設定できないと、その後の「頻脈・徐脈の程度」「細変動の大きさ」を評価する基準がぶれてしまいます。基線は10分間の区間の平均心拍数で5の倍数で表現します。このとき、一過性の頻脈や徐脈の部分は含めず、2分間以上持続している安定している区間を基準にすることが大切です。

胎児頻脈の原因としては、母体側の要因(発熱、感染、甲状腺機能亢進など)、胎児側の要因(低酸素、胎児感染)、薬剤(β刺激薬、鎮痛薬)などがあります。持続的な頻脈は胎児ストレスのサインである場合も多いため注意が必要です。
胎児徐脈の原因には、母体低血圧、臍帯圧迫、胎盤機能不全などがあります。110bpmを下回る場合、まず「一過性の徐脈」か「持続的な基線低下」かを区別しなければなりません。持続的な基線低下は胎児低酸素のリスクが高く、緊急度の高いサインです。
基線細変動とは、胎児心拍数が一拍ごとに自然に変動している様子です。これは胎児の交感神経と副交感神経がバランス良く働いていることを示し、胎児の中枢神経系が健全に機能しているかどうかを反映しています。

6〜25bpmの範囲で細かな揺れがある場合は、胎児が健常である証拠です。正常な細変動を見つけたときには、まず「この胎児は自律神経がしっかり機能している」と安心できる材料になります。
細変動が3〜5bpm程度に減少している場合、いくつかの原因が考えられます。
臨床では「睡眠による一過性の減少なのか」「低酸素による病的な減少なのか」を見極める必要があります。睡眠であれば20〜40分以内に回復することが多いので、観察を継続してその後の変化を確認します。
細変動がほぼ平坦で肉眼では認められない状態では胎児は重度の低酸素やアシドーシスに陥っている可能性が高いです。これは非常に危険な所見であり、緊急対応が求められます。
細変動が26bpmを超える場合、一見“元気すぎる”サインに見えますが、実際には胎児が低酸素から回復しようとして強い反応を示しているケースが多いです。たとえば、徐脈の後に細変動が増加することがあります。
一過性頻脈は、胎児が健常であることを示す非常に重要な所見です。
一過性頻脈は、胎児が動いたときや母体からの外的刺激に反応して出現します。これは胎児が十分な酸素を持っていることを意味する“安心のサイン”です。妊娠32週未満では心拍数の変動は少なく、心拍数の増加が10bpm以上、持続が10秒以上のものを一過性頻脈と定義しています。
一過性頻脈が少ない場合、胎児が睡眠状態にあることもあります。その場合は体位変換や刺激(VAS:vibro acoustic stimulation)で胎児が目覚めると一過性頻脈が出現することがあります。しかし、それでも出現が乏しい場合は低酸素の可能性を考えなければなりません。




CTGモニターを判読するときに、まず注目すべきは「基線」「基線細変動」「一過性頻脈」の3つです。
基線は胎児心拍数の平均を示し、110〜160bpmが正常範囲です。細変動は胎児の自律神経の働きを反映し、6〜25bpmの範囲で見られることが健常のサインです。一過性頻脈は胎児が元気であることを裏付ける安心材料となります。これらがそろって正常であれば、胎児はおおむね良好な状態にあると判断できます。一方で徐脈が出現した場合には、そのパターンによって意味が異なります。どの種類の徐脈なのかを波形から読み取れるようになることが必要です。まず「どこから見ればよいのか」を知り、「胎児が元気かどうかを判断できる」ことが大切です。基本を押さえ、CTG判読に自信が持てるように少しずつ波形を読む力を磨いていきましょう。





