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妊娠期
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2026

【助産師必見】超音波検査での胎児計測|基本項目と正しい計測方法を徹底解説

  • 超音波検査
  • 助産師によるエコー検査
SUMMARY
この記事でわかること
超音波検査は、胎児の発育や妊娠経過を確認するために欠かせない検査のひとつです。妊婦健診での超音波検査を楽しみにしている妊婦さんも多く、画面に映る赤ちゃんの姿を観て「元気に育っている」と実感できる大切な機会となっています。最近では助産師外来を実施している施設も多く、助産師が超音波検査を行う機会も増えています。本記事では、助産師が超音波を扱う際に押さえておくべき基本を丁寧に解説します。プローブの持ち方やゼリーの使い方から、BPD・AC・FLの測定基準、胎盤や羊水の観察方法の手順をまとめました。

プローブの基礎知識

超音波検査で使用する探触子を「プローブ」と呼びます。プローブの先端から超音波が発射され、体内の組織に反射して戻った波を受信し、画像として描出します。産科でよく使用されるのはコンベックスプローブ(腹部に当てて使用するプローブ)と経腟プローブです。コンベックスプローブは扇形に広がる画角で広範囲を描出できるため、妊娠中期〜後期の胎児全体の観察に適しています。経腟プローブは膣内に挿入して子宮や卵巣、妊娠初期の胎嚢・胎児を高解像度で描出できます。妊娠初期は腹部からでは胎児や心拍が見えにくいため、経腟プローブを使用する方がより正確に観察ができます。

プローブには「プローブマーク」と呼ばれる目印があります。小さな突起やランプで示されることが多く、画面の左右方向を統一するための基準になります。一般的には、画面の左側がプローブマークの方向に対応する設定になっています。たとえば、マークを妊婦の頭側に向けると、画面左は頭側、右は足側として表示されます。この対応関係を理解することが、正しい断面を描出する第一歩です。プローブを持つ際には必ずプローブマークを確認しましょう。

プローブの持ち方とゼリーの使い方

プローブは鉛筆を持つように軽く握り、手首や肘を安定させて操作します。検査の際にはエコーゼリーを使用し、プローブをお腹にしっかり密着させます。エコーゼリーが不足すると空気が入り込み、画像がぼやけたり断面が見えにくくなります。反対に、強く押し付けすぎると妊婦に痛みや不快感を与えたり、条件によっては描出が難しくなる場合もあります。画像が鮮明でないと感じた際にはプローブを適度な圧で密着させられているか、エコーゼリーの量は適切かなどを確認してみましょう。超音波検査中のプローブ操作には「置く」「傾ける」「回す」という3つの動きがあります。最初に全体像をとらえて胎位を確認し、その後に角度や回転を微調整しながら計測に適した断面を描出します。

超音波検査を行う際には妊婦さんの肌の露出は最小限にとどめるように心がけ、タオルやブランケットをかけるなどして安心して検査を受けられる環境を整えることが大切です。しかし、児頭や胎盤の位置を正しく評価するためには恥骨付近までしっかり描出する必要があります。検査中の視野を確保するために妊婦さんには事前にズボンや下着を腰骨の位置まで十分に下げてもらえるように説明しましょう。


画像の見方

超音波画像は反射の強さによって表現されます。骨は白く(高エコー)、羊水は黒く(無エコー)、筋肉や臓器は灰色(中エコー)として描出されます。まずは胎児全体の位置関係を確認し、頭やお腹、足の位置を把握してから計測に進むことが大切です。胎児計測をする際にはズームを使用して計測したい部位が画面中央に来るように確認しやすい位置や倍率に調整しましょう。

胎児計測の基準

児頭大横径(BPD)

BPDを測定する際には、以下の条件を満たす断面を描出します。

  • ミッドライン(脳正中構造)が画面中央に位置していること→ミッドラインが画面中央にあることで頭部が傾いていないことを確認できます。
  • 側脳室が左右対称に映っていること→頭の傾きが少なく、頭部の中心を正しく通る標準断面を描出できていることを確認できます。
  • 中央に透明中隔(cavum septi pellucidi)が描出されていること→前方に黒い小さな空間として映ります。これが見えることで前後方向の位置が適切であることが確認できます。
  • 小脳や後頭蓋窩が映っていないこと→小脳が描出されている場合は断面が低すぎるため正確なBPDが計測できません。

BPDの計測は頭蓋骨の「外側から反対側の内側まで(outer to inner)」で行います。頭蓋骨の外側から外側まで測定すると値が大きくなりすぎるため注意が必要です。

腹囲(AC)

ACを測定する際は、次の条件を満たした断面を選びます。

  • 胃泡(stomach bubble)が描出されていること→左側に黒い球状の無エコー域として映ります。
  • 臍静脈(umbilical vein)が描出されていること→肝臓を横切るように映り、円形断面の中に黒い管状構造として確認できます。
  • 脊椎が描出されていること→後方に三日月状の高エコー像が並んで見えます。脊椎が明瞭に描出されていることで断面の高さが適切であることが確認できます。
  • 大動脈が描出されていること→脊椎の前方に黒い円状の無エコー域をして見えます。
  • 断面が真円に近く左右の肋骨が対称に描出されていること→肋骨が対称に見えていて真円に近いことで斜めに切れていない真横断面であることが確認できます。

計測は腹壁の皮膚外縁に沿ってトレースし、周囲長を算出します。楕円形の断面では誤差が生じるため、最もきれいに丸く描出される像を選びます。

大腿骨長(FL)

FLは胎児の大腿骨の長さを評価する指標です。

  • 大腿骨が最も長く映る断面を選ぶこと
  • 両端が明瞭に描出されていること
  • 骨端部(エピフィシス)は含めず、骨幹部のみを大転子から顆まで直線で計測すること

短縮して映る場合は、プローブを微調整して最長径を捉えることが大切です。BPDと異なる点としてFLは骨の外側から外側まで(outer to outer)で計測します。

これら3つの計測値を組み合わせて胎児推定体重(EFW)を算出し、発育曲線と照らし合わせて評価します。

胎盤と羊水の観察

胎盤の位置は、前壁・後壁・側壁のいずれに付着しているかを確認し、内子宮口にかかっていないか(前置胎盤・低置胎盤)や臍帯付着部位をチェックします。前置胎盤・低置胎盤は分娩様式に直結するため、定期的な確認が重要です。

羊水はAFI(羊水インデックス)や最大羊水ポケットで評価します。AFIはお腹を4分割してベッドに対してプローブを垂直にした状態で測定します。

妊婦への説明と安心の提供

妊婦さんにとって超音波検査は「赤ちゃんと会える時間」です。計測値や所見をそのまま伝えるだけではなく、「児頭大横径は週数相当で育っています」「腹囲もきれいに丸く見えています」「胎盤の位置は出口にかかっていないので安心してください」といった言葉を添えることで、より強い安心を与えることができます。

計測で困る場面と工夫

胎児が動いて断面が安定しない場合は、妊婦に体位変換を依頼したり、時間をおいて再描出することが有効です。羊水が少なく描出困難な場合は、胎盤を避けて角度を工夫します。母体が肥満の場合は低周波プローブを使用したり、軽くお腹を押さえてアングルを変えると改善する場合があります。


超音波検査は、単なる発育計測にとどまらず、妊婦さんに安心を届けるための大切な手段です。基本操作を正しく身につけることは、確実な画像描出の第一歩となります。そして、数値を測るだけではなく、妊婦さんにわかりやすい言葉で伝えることで、超音波検査の時間が妊婦さんとのコミュニケーションの時間にもなります。超音波検査の経験が少ないうちは難しく感じるかもしれませんが、基本を一つずつ確実に身につけ、臨床で経験を積むことで必ず技術は向上します。

超音波検査についてもっと詳しく知りたい、実際のプローブの動かし方をイメージしたい方はぜひこちらの動画をご覧ください。この動画に感想を送ると計測方法をまとめたPDF資料をお渡ししています。

【今さら聞けない】超音波検査プロの助産師が教える!エコーの使い方と検査の基本詳細はここからアクセス!

参考文献

産婦人科診療ガイドライン 産科編

産科超音波テキスト

産科婦人科超音波テキストブック


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