
当社が2026年8月、助産師220名に実施した調査(助産師専用アプリ「Coepo」内アンケート/複数回答)では、ママから寄せられる相談として「離乳食の進め方・作り方」を挙げた方が45.9%、「子どもが食べてくれない」を挙げた方が30.5%にのぼりました。
産後ケア事業の対象が産後1年まで拡大されたことで、離乳食に関する相談はますます身近なものになっています。一方で、私たち助産師の専門領域は、妊娠・出産から1か月健診までが中心。制度が広がるスピードに、離乳食に関する知識や引き出しの整備が追いついていないのが実情ではないでしょうか。
今回は、その「食べてくれない」に真正面から向き合い、「食べなくても、経験値はたまっている」と考える、株式会社MiLの「the kindest(カインデスト)」にフォーカス。離乳食を単に栄養をとるためのものではなく、その子の一生の食の入り口となる“体験”として捉える考え方について、企画部の池藤さん、大塚さんのお二人にお話を伺いました。
単なる時短アイテムとしてではなく、なぜ the kindest が「ママの罪悪感をできるだけ軽くし、赤ちゃんの豊かな食体験をつくる選択肢」となり得るのか。取材で伺った理念やこだわりを通して、助産師が現場で活用できる視点をお届けします。
―ママから「食べてくれない」と相談されたとき、どう考えればよいでしょうか。
「酸味や苦味に赤ちゃんがギョッとするのは、当たり前のことなんです。まだ食べ慣れない味に対する、一種の防御反応ですね。さらに離乳食が進んだ1〜2歳ごろからは、未知の食べものそのものを警戒する『食物新奇恐怖(food neophobia)』という反応も出てきます。
ベーッと出しても全然オッケー。1回口に入れて味わったこと自体が、もう大切な体験になっています。1回・2回で『食べない』と結論づけず、焦らずに見守ってほしいと思っています」(※1・※2)
さらに、野菜や果物は、1日1品ずつ8〜10日以上くり返し食卓に出すことで、受け入れやすくなるという系統的レビューの報告(※3)もあると教えていただきました。
ただし、必要な回数には個人差があり、数回で変化がみられる子もいます。大切なのは、無理に食べさせることではなく、何度も食卓に並べて「これは不安なものではない」と伝えていくこと。そして、親も一緒に食べながら「おいしいね」と声をかけることです。
つまり、「食べないこと」を問題としてとらえるのではなく、「食べなくても、経験値はたまっている」と最初に伝えておく。これだけでも、ママの気持ちはずいぶん楽になるかもしれません。私たち助産師が最初に手渡せる言葉として、実践しやすい考え方の一つではないでしょうか。
もちろん、体重の増え方が思わしくないなど、気になるサインがある場合は別です。そこは私たち助産師が状況を見極め、必要に応じて専門機関への相談につなげることが大切です。

―ブランドとして、食育をどう捉えていらっしゃいますか。
「食育は、人によって捉え方が異なる難しい言葉ですが、私たちは味覚機能を高めることを目的としているわけではありません。多様な素材や味、香り、食感との出会いを通じて、さまざまな食の体験を重ねてもらう。その機会を提供することが、私たちの考える食育です。生まれてすぐの時期は、外に出るだけでもさまざまな刺激がありますよね。それと同じように、食にもたくさんの刺激があります。トマトを初めて食べたときの酸っぱさ、ごぼうの土っぽい香り。五味だけでは表現しきれない感覚や風味も含めて、いろいろな食体験を重ねてほしいと思っています。」
外出や遊びと同じように、食もまた、赤ちゃんにとって大切な“体験”のひとつ。そう捉えると、「食育」という言葉も、ママにとってより身近なものとして伝えられるのではないでしょうか。
では、そうしたさまざまな食体験を重ねることは、赤ちゃんのどのような変化や様子として現れるのでしょうか。伺うと、何か明確な「到達点」があるわけではなく、「食べたときの反応を、ママがちゃんと見てあげること」が大切なのだと答えてくださいました。「土の匂いがするね」「ちょっと酸っぱいね」そんなふうに食卓で親子がやりとりすること自体が、大切な食体験になる。赤ちゃんがどんな表情をしたのか、どんな反応を見せたのか。その一つひとつが、親子にとってかけがえのない思い出にもなっていくのだそうです。
離乳食期は、そうした瞬間がたくさんある時期。けれど、毎日の食事に必死で、わが子の小さな反応に気づく余裕がなかった――。ご自身の子育てを振り返りながら、そんな経験も交えてお話しくださいました。
「the kindestでは、素材の風味や甘みをできるだけ活かせるよう、食材の状態に合わせて調理方法を工夫しています。
そのひとつが、水を加えず、食材そのものが持つ水分を引き出しながらじっくり加熱する調理法です(※一部商品で採用しています)。シェフにとっては馴染みのある調理法でしたが、それを実現できる工場がなかなか見つからず、出だしから苦戦しました。」
創業時は、代表夫妻とシェフの3人からスタート。食品業界の既存の常識にとらわれず、実現したい味やものづくりを一つずつ形にしてきたことが、現在のものづくりにもつながっていると語られました。
「例えば、とうもろこしは薄皮ごと細かくすることで、裏ごしをせずに食べられるなめらかなピューレに仕上げています。また、かぼちゃやさつまいもは皮付きのままスチームオーブンでじっくり加熱。食材の水分を活かしながら甘みを引き出したピューレに仕上がっています。」
実際の調理では、天候や食材の状態なども見ながら、人の手で細やかに調整しているそう。その様子は、まるで職人の仕事のようだともいいます。
離乳食中期以降の商品については、こんな話もありました。
「家庭の小鍋で少量を作るのと、大きな鍋でたくさんの食材を煮込むのとでは、同じ材料でも味わいが変わります。家庭で手作りするのとはまた違う、大きな鍋でじっくり煮込むからこそ生まれるおいしさもあることを、知っていただけたら嬉しいです。」

助産師がママに the kindestを紹介するうえで、ぜひ知っておいていただきたいのが、安全性への取り組みです。
the kindest では「安全につくれる環境が整っているか」と「きちんと仕上がっているか」の両方を大切にし、製造環境から完成品まで、一貫した品質管理を行っています。
まず製造環境について。製造を委託している工場は、HACCPやISOなど衛生・品質管理に関する認証を取得しています。新規の製造開始時はもちろん、その後も定期的な監査を通じて、衛生管理や製造体制が適切に保たれているかを確認しています。
検査は、多層的に実施しています。法令や、第三者機関の自主規格を参考にした自社基準を設けたうえで、ロットごとに官能検査と微生物検査を実施。放射性物質、重金属、農薬などの検査は、商品ごとに必要性や頻度を判断して行い、食品衛生法をもとに定めた自社基準への適合を確認しています。異物混入については、X線検査装置や金属探知機による検査も実施しています。
特徴的なのは、官能検査の位置づけです。生鮮野菜や市場で仕入れる魚は季節や個体差によって状態が変わりやすいため、ロットごとに味・香り・食感を人が確かめています。判断するのはシェフとパティシエ。素材の状態に合わせて火加減や加熱時間を調整し、安全性とおいしさの両面から仕上がりを確認しています。
また、月齢ごとの食材の選定、硬さ、大きさ、固形感といった機能面については、小児科医の工藤紀子先生に監修いただいています。栄養面だけでなく、赤ちゃんの発達段階に合った形状かどうかを確認する体制です。
そのうえで、次の3点はどの商品を紹介するときも同じように添えてください。

ー「離乳食は手作りすべき」「市販品を使うことに罪悪感がある」。この気持ちを抱えたママは、少なくありません。そういった思いを抱えるママたちへ、伝えたい想いはありますか。
「作りやすいものは手作りでいいと思っています。スーパーのお野菜でまったく問題ありません。ただ、やりづらいものを後回しにして、そのままやらなくなってしまうくらいなら、ぜひ市販品を頼ってほしい。弊社に限らず、頼ってもらえるといいなと思っています。」
具体的に市販品が現実的な選択肢になる場面として、次のようなものが挙がりました。
「酸っぱいものや苦いものにギョッとするのは、赤ちゃんにとって当たり前のことなんですよ。ベーッと出しても大丈夫。1回口に入れて味わったこと自体が、もう貴重な体験になっています。野菜や果物なら、8回、10回と出しているうちに受け入れていくという報告もあるので、1回や2回で『食べない子』と決めなくて大丈夫ですよ。
たとえば『the kindest』というベビーフードは、まず経験することが大切という考え方で、えぐみや臭みは抑えながら、この時期に味わってほしい素材の苦味や酸味は、調味料などで一律に味を調えるのではなく、素材の風味を活かせるようにつくられています。何度も作り直すのが大変なときは、頼ってみるのもひとつですよ」
「そう感じる方は本当に多いですよね。下処理が大変なものを後回しにして、そのままになってしまうくらいなら、信頼できるブランドに頼ってもいいと思うんです。
たとえば『the kindest』は、シェフが素材の味を活かすようにレシピを組み、食の現場で実際に使う調理技術を取り入れているんですよ。こうした手間をかけてつくられたものを選ぶのも、立派な愛情のかけ方のひとつです。空いた時間に、赤ちゃんの顔をゆっくり見られたら、きっと素敵な時間になりますよ」
「硬さの正解って、文章や口頭だけだと分かりにくいですよね。それなら、市販のベビーフードを一度見本として使ってみて、『このくらいか』と目や手で確かめてみるのがおすすめですよ。
たとえば『the kindest』は、月齢ごとの硬さや大きさを小児科の先生に監修いただいているので、目安として使いやすいと思います。月齢表示はあくまで目安なので、お子さんの様子を見ながら進めれば大丈夫ですよ」
the kindest は、使えば必ず食べてくれるようになる魔法の離乳食ではありません。それでも、「食べなくても経験値はたまっている」という考え方と、食を“体験”として捉えることは、離乳食づくりにがんばりすぎてしまうママの肩の力を抜くきっかけになるはずです。
取材の最後に、代表がブランド立ち上げのころ、「一家に最低一個はあって、困ったときにいつでも助けを求められる存在になりたい」とよく話していた、というエピソードを伺いました。正解を示すのではなく、一緒に悩みながら寄り添う存在でありたい。
これは、私たち助産師のあり方にも重なるのではないでしょうか。
助産師の「手作りのほうがいいですよ」という何気ない一言が、ママを追い込んでしまうことがあります。逆に「頼っていいんですよ」という一言が、その日の食卓を軽くすることもあります。どちらを選ぶかを決めるのはママであり、私たちではありません。
「頼ることは手抜きではなく、愛情をもって笑顔の時間を作るための大切な選択」。
助産師として、選択肢とその根拠を持っておく。市販のベビーフードにも、こんな考え方でつくられているものがある。そんな知識として、ぜひ引き出しに加えてみてください!
【the kindest をもっと知りたい・ママにご紹介したい方へ】
離乳食を“体験”として捉える the kindest。ベビーフードのほかに幼児食や栄養補助食のラインナップもあり、ママがつまずきやすい移行期の相談にも活用できます。会員登録(無料)をすると、LINEでの離乳食相談やオンラインセミナーもご利用いただけます。
〈参考文献〉
※1 Mennella JA. "Ontogeny of taste preferences: basic biology and implications for health." Am J Clin Nutr. 2014;99(3):704S–711S.
※2 Dovey TM, et al. "Food neophobia and picky/fussy eating in children: A review." Appetite. 2008;50(2-3):181–193.
※3 Spill MK, et al. "Repeated exposure to food and food acceptability in infants and toddlers: a systematic review." Am J Clin Nutr. 2019;109(Suppl 7):978S–989S.