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コラム
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2025

【助産師の新常識】産後ケア施設と産後ケアホテルの違い|料金・ケア・働き方を徹底解説

  • 産後ケア事業
  • 事例紹介
  • 自治体の産後ケア
SUMMARY
この記事でわかること
母子の健康を守り、安心して子育てをスタートするためにとても大切な産後ケア。日本では母子保健法の改正により令和3年度から産後ケア事業の実施が努力義務化され、近年は「産後うつの予防」や「育児不安の軽減」のために、ますます産後ケアへの重要性が高まっています。そんな中、産後ケアを受けられる場として「産後ケア施設」と「産後ケアホテル」の2つの選択肢があります。どちらも産後のママと赤ちゃんを支える場ですが、この2つの違いや特徴は理解できていますか?「よく分からない、詳しく知らないかも…」といった方は必見。この記事で料金・ケア・働き方など両者の違いを詳しく解説していきます。

近年、産後ケア事業の努力義務化もあり、「産後ケア施設」や「産後ケアホテル」といった産後のママたちをサポートする事業の利用やニーズが広がっています。どちらも出産後のママと赤ちゃんが安心して過ごせる場所ですが、「『産後ケア施設』と『産後ケアホテル』の違いがいまいち分からない…」と感じている助産師も多いのではないでしょうか?

ここでは、「産後ケア施設」と「産後ケアホテル」で提供される環境やケア、利用方法などの違いを整理していきます。
産後ケアで助産師に求められるケアとは何か?どんな働き方ができるかを知り、助産師として産後ケアについて適切な情報提供ができるようにしていきましょう。


産後ケア施設とは?

運営主体と特徴

「産後ケア施設」は自治体が実施主体となり、市町村から委託を受けた病院やクリニック、助産院でケアを受けることができます。
「産後ケア施設」の利用方法や利用料金、サポート内容は産後ケアガイドラインによって定められ、それを基にケアが実施されています。

特徴としては、自治体の助成を受けられるため経済的負担が少なく、主に助産師による母子の健康管理や育児サポートのケアを受けれらる点です。
また、必要に応じて医療的介入につなぐことが容易である点も安心できるポイントです。

提供するケア内容

1.授乳・育児相談

決められた時間内で、助産師がマンツーマンで授乳サポートや赤ちゃんの発達、沐浴、抱っこの仕方など育児についての悩みに答えてくれます。初めての育児で不安な方に特に役立ちます。

2.母乳トラブルのケア

乳腺炎予防や母乳分泌促進のための母乳ケアが受けられます。
乳房トラブルや授乳がうまくいかないといった悩みを抱えるママに最適です。

⒊産後の体調管理

決められた時間の中で、ママの休息時間を確保できます。
産後うつの予防と早期発見、育児不安の軽減や疲労回復のケアが受けられます。
ゆっくり眠れる時間は産後の体調回復に非常に効果的です。

4.バランスの取れた食事

各施設で提供される栄養バランスの良い手作りの食事が提供されます。出来立ての温かい食事をゆっくりと食べられることや、産後の栄養補給に最適な食事が摂れるのは大きなメリットです。

5.赤ちゃんのお世話

ママが休息をしている間、赤ちゃんをお預かりします。

6.オプションサービス

自治体が運営する施設でも、オプションとしてその他サービスの提供や育児用品の販売も行えるため、+αのケアやサービスを受けることも出来ます。


利用方法と利用料金

「産後ケア施設」では、本人またはその家族が市町村へ利用申し込みを行い、実施場所と日時を本人に伝えることで、利用することが可能になります。
市町村への申し込みが済んでいれば、その後の利用に関する調整は産後ケア施設の事業者と直接行うこともでき、地域の助産師を認知したり、繋がりを持つきっかけにもなります。
最近では、オンラインで申し込みが行えるなど、その利便性が整えられている地域もあります。

実施内容は宿泊型(ショートステイ)、日帰り型(デイサービス)、訪問型(アウトリーチ)があり、原則として利用は7日以内となっています。


実施主体が市町村のため、利用料金は公費負担があり、自治体によって料金設定は異なります。公費の産後ケアの利用回数を超えた場合は、自費となりますがその後も利用可能です。
産後ケアの利用対象も1年未満となっていますが、これも自治体によって利用対象の制限が定められています。

働き方

助産師の産後ケア施設での働き方は多様です。
病院やクリニックに勤務しながら産後ケアを提供するほか、助産院を開業して訪問型の産後ケアを行うことも可能です。

また、自身で産後ケア施設を運営し、宿泊やデイケアサービスを提供するケースもあります。
それぞれの働き方によって、提供できるケアの内容や働く環境が異なります。

利用例(横浜市・山本助産院の場合)

横浜市の産後母子ケア事業を担う山本助産院を例に、利用例を見てみましょう。横浜市では、生後4ヶ月までの赤ちゃんとママを対象に公費でケアを受けることができます。

母子ショートステイ(入院)7日間まで
・1泊2日:6,000円 以後1日につき:3,000円
・生活保護世帯、市民税非課税世帯は自己負担なし(食事、個室、リネン等含む)

母子デイサービス(日帰り)7日間まで
・1日:2,000円
・生活保護世帯、市民税非課税世帯は無料
(9時入院、17時退院、昼食、個室、リネン等含む)

山本助産院では、上のお子さん連れの入院も可能です。
(費用は1日3,000円/人がプラス)
これは経産婦さんにとって大きなメリットですね。

自費利用の場合
・1泊2日:60,000円
・以後1日につき:30,000円
・多胎の場合は1日15,000円/1人加算
・日祝日は1日35,000円(多胎の場合17,500円/1人加算)
・産後デイケア(日帰り入院):1日20,000円

追加オプションサービス
山本助産院では、基本的なケアの他にも様々なオプションサービス(別料金)があります。
・整体
・鍼灸
・リフレクソロジー
・アロママッサージ
・フェイシャル
・ヘアカット&パーマ
・産後エクササイズ
・産後ヨーガ




産後ケアホテルとは?

運営主体と特徴

「産後ケアホテル」は、主に民間企業が運営しており、ホテル全体またはホテルの客室の一部を利用して運営されています。
助産師や保育士、産後ケアリストなどの専門ケアスタッフが常駐し、快適な宿泊環境やプライベートの空間の中で育児や授乳などのケアを受けられます。
産後のケアに加え、ホテルのようなサービスを受けながら心身のリフレッシュを目的としているのが特徴です。

提供するケア内容

1.ラグジュアリーな空間でのリラックス

好みの部屋を選べて、ホテル並みの設備が整っています。ホテルの環境でリラックスして過ごすことができます。

2.レストランでの産後食

豪華なフルコースやビュッフェなど、栄養満点で見た目も美しい食事が提供されます。
産後は簡素な食事になりがちなので、育児のモチベーションアップにもつながります。

3.多彩なオプションサービス

エステやマッサージ、ネイル、岩盤浴、写真撮影など、豊富なサービスが用意されています。

⒋赤ちゃんのお世話サポート

夜間預かりOKな施設もあり、ゆっくり休息できます。

5.完全個室での滞在

ゆっくり過ごしてもらうため、連泊で割引を設けている施設も多くあります。

6.ふるさと納税の活用

ふるさと納税の返礼品として利用できるホテルもあります。


利用方法と利用料金

産後ケアホテルは宿泊型での利用をメインにしているところが多いです。
利用方法は、利用したい産後ケアホテルのホームページやLINE、電話での申し込みになります。
事前に見学を行っている産後ケアホテルもあります。
プランも豊富で、利用料金は客室や内容によって2万円〜10万円以上と幅広く、利用の対象であれば利用回数の制限がないことが産後ケアホテルの特徴です。

働き方

産後ケアホテルで働く助産師は、社員やアルバイトとして施設に属することが一般的です。
助産師として産後ケアを提供するだけでなく、ホテルのフロント業務や施設の運営に関わる営業活動なども担うことがあります。
医療機関とは異なり、接客業の要素も求められる点が特徴です。

利用例(マームガーデンリゾート葉山の場合)

リゾート型産後ケアホテルの代表例として知られるマームガーデンリゾート葉山では、3種類のプランが設定されています。
お部屋のグレードによって料金は上がり、連泊割引もあります。

フルサポートリカバリープラン
目的:母子の療養と育児技術の習得
対象:退院直後から生後4ヶ月まで利用可能
料金:1泊42,000円〜(最低宿泊数10日〜)
特徴:授乳や育児のサポートはもちろん、24時間好きなタイミングで赤ちゃんを預けることが可能。食事は1日5食付き。

ハーフサポートリフレッシュプラン
目的:育児疲れの解消と、心身のリフレッシュ・リラックス
対象:生後1ヶ月から最大4ヶ月未満
料金:1泊31,000円〜(最低宿泊数2日〜)
特徴:赤ちゃんの預かりは日中のみ(夜間オプションで預かり可能)食事は1日5食付き

エンジョイリゾートプラン
目的:赤ちゃん連れの旅行で一緒にホテルリゾートを堪能する
対象:生後4ヶ月から最大1歳未満
料金:1泊20,000円〜(最低宿泊数2日〜)
特徴:朝食付き、赤ちゃんの預かりなし(オプションで日中の預かり可能)

ファミリー宿泊
パパや上のお子さんも一緒に泊まれるので、夫婦で育児指導を受けることが出来たり、産後も家族が一緒に過ごせることが大きなメリットです。
料金:3歳未満無料、3〜11歳5,500円、12歳以上11,000円(食事付き)

サービス内容
食事:レストランで景色を楽しみながらビュッフェスタイル、ノンアルコールドリンクやアルコールは無料提供
設備:大浴場、ラウンジ、岩盤浴、キッズスペース、カラオケルームなど
必要に応じて医療機関の受診が必要な場合は、病院を紹介してくれるサービスもあります。




産後ケア施設と産後ケアホテルの違いを比較

項目

産後ケア施設

産後ケアホテル

運営主体

自治体

民間企業(ホテルなど)

運営スタッフ

助産師・看護師・保育士など

助産師・保育士・産後ケアリストなど

利用方法

訪問型・日帰り型・宿泊型

(最大日数制限あり)

主に宿泊型(連泊)

料金

比較的安い

(自治体補助あり、回数制限あり)

高め(1泊数万円〜)

目的

産後の身体ケア・育児サポート

リラックス

産後の身体ケア・育児サポート・リラックス

食事

栄養バランスが整っている

バランスの整った豪華なホテル食

赤ちゃんの預かり

あり(施設による)

あり

産後ケア施設は自治体の助成があるのに対して、産後ケアホテルは全額自費のため高価ではありますが、その分多くのサービスや恩恵を受けることができます。


どちらを選べばいい?ママたちに相談されたら?

産後ケア施設が向いている人

・母乳トラブルや育児の不安がある方
・助産師にしっかりサポートしてもらいたい方
・料金を抑えつつ専門的なサポートを受けたい方

産後ケアホテルが向いている人

・産後の疲れを癒したい方
・充実したサービスを受けながら過ごしたい方
・夫や家族と一緒にゆっくり過ごしたい方


産後ケア施設は公費助成があり経済的に優しく、専門的なケアに重点を置いています。
そのため「費用を抑えて、しっかり助産師のケアを受けて、育児の準備をしたい人向け

産後ケアホテルは自費となりますが、快適な環境でリラックスしながら家族と過ごせるメリットがあります。
そのため「育児サポートを受け産後の疲れを癒しながら、充実したサービスの中で家族と快適に過ごしたい人向け」と言えるでしょう。







まとめ

産後ケア施設と産後ケアホテル、どちらを選ぶかは、ママと赤ちゃん、そしてその家族が産後に何を求めているかによって変わります。
助産師が各施設の特徴をしっかり理解し、的確な情報を提供できることは、ママたちが自分たちのニーズや状況にぴったりな施設を選ぶ手助けとなり、育児不安や産後うつの予防に繋がります。産後ケアはこれからどんどん需要が高まる分野です。
産後ケアに興味があり、働きたいと考えている助産師の皆さんは、この分野での知識と経験を深めて行くことが、産後ケアで働くことを実現する一歩となります。

まずは、自分が住んでいる自治体の産後ケア事業をチェックしてみてください。どこで出産しても産後も安心して助産師のケアが受けられる社会になればと思います。


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