
「寝かしつけがうまくいかないんです。」現場で、こうした相談を受けたことはありませんか?
赤ちゃんの寝かしつけには、抱っこや授乳のリズムを整えるなど、ママたちが試行錯誤しているさまざまな方法があります。その中で、ここ数年は「スワドル(着るおくるみ)」を取り入れる方が増えてきました。一方で、スワドルについては助産師の間でも賛否が分かれ、「安全性を踏まえて勧めてよいものか」という声もよく聞かれます。そこで今回は、数ある寝かしつけアイテムの選択肢の中からスワドルを取り上げ、安全性の根拠まで掘り下げて学んできました。
今回お話を伺ったのは、オーストラリア発のスリーピングウェアブランド「エルゴポーチ」を日本で展開するウェスキー株式会社の住田由香さんです。本記事を読めば、スワドルの安全性の設計根拠と、現場でそのまま使える「選び方」の指導トークが手に入ります。
住田さんは3人の子育てを経験し、自身も「寝ない子」の育児に苦しんだ一人です。転機になったのは、睡眠研究で知られる大学教授の対談を目にしたことでした。「睡眠が足りないと、脳はずっと二日酔いの状態になり、いい判断ができなくなる」という言葉に、かつての自分の育児中のイライラが重なったといいます。
「今のママさんたちの睡眠環境はどうなっているんだろう」。そう考えていた時期に、オーストラリアのエルゴポーチ本社と、日本での取り扱いについてご縁があったそうです。
実は住田さん自身も、最初はスワドルに対して懐疑的だったといいます。「手足を何かに包まれると、体温調節ができなくなるのではないか」という、育児の中で何となく持っていた印象が引っかかっていたようです。しかし、改めてブランドの担当者と話す機会を持ち、自身が引っかかっていた点の一つ一つに設計上の根拠があることを知り、取り扱いを決めました。

―スワドルを取り扱っていく中で、住田さんは助産師の存在をどう見ていますか。
「赤ちゃんの寝かしつけについて、お母さんから一番相談を受けやすい立場にいるのが助産師さんです。ただ、そのぶん影響力も大きいので、『なんとなく不安』という印象を持ったまま接すると、その不安がそのままお母さんに伝わってしまうこともあると思います。
実は、海外では、スワドルはすでに出産準備品の定番です。オーストラリアやアメリカでは、産院の売店にサイズ・厚さ違いのスワドルが並び、退院時の持ち物として案内されることも珍しくありません。一方、日本ではまだ知らない人が多く、コーナーとして定着し始めたのもここ数年のことです。
あわせて、やわらかい掛け布団を使わない方針が国内でも広がりつつあり、寝具の選択肢の一つとして、スワドルへの関心が高まっている背景があります。」(住田さん)
スワドルは、赤ちゃんの体を布で包み、モロー反射による不要な覚醒を防ぐためのアイテムです。ただし、ただ包めばよいわけではありません。
股関節については、赤ちゃんが自然にとる「脚が開いた姿勢(M字姿勢)」を妨げないことが、発育の面で大切だとされています。エルゴポーチのスワドル「コクーンスワドルバッグ」 は、裾が広がったベル型ボトムを採用し、脚を自由に動かせるスペースを確保しています。
また、赤ちゃんが自然な姿勢で過ごせるよう、スワドルの中で腕を固定せず、好きな位置に動かせる設計になっています。さらに、別売りの「バタフライカーデ」を使用することで、腕を上げた状態で包むことも可能です。
「海外では手を挙げるタイプのスワドルが先に広がったので、それが主流になっていますが、すべての赤ちゃんが手を挙げた姿勢を好むわけではありません。肩関節への負担を心配する声も聞きます」と住田さん。なぜ手を上げるタイプが広まったのか、明確な根拠があるわけではなく、最初に普及した形がそのまま踏襲されている面が大きいといいます。

この設計は、人間工学に基づく検証を重ねた上で採用されています。「なんとなく良さそう」ではなく、赤ちゃんの自然な姿勢を基準に据えている点が、他の寝具との違いだと住田さんはお話ししてくださいました。
体温管理については、オーガニックコットンとバンブー(竹由来の繊維) による通気性に加えて、TOG(トグ)という数値で生地の厚さを選べるようにしています。 TOGは寝具や寝装品の断熱性・保温性を表す単位です。数値が大きいほど冬向き、小さいほど夏向きで、 「何となく暑そう・寒そう」で判断するのではなく、室温に応じて数値で厚さを選べる仕組みです。重ね着の考え方と同じく、TOGの数値は足し算で考えることができ、季節に応じて組み合わせを変えられます。製品には室温計付きの着せ方ガイドが付属しており、 室温に合わせて中に着せる肌着やロンパースを調整できます。

スワドルに対する不安で他に多く聞かれるのが、やめどきです。寝返りが始まったらすぐにやめないと危ない、という情報が広まっていますし、私たち助産師もママから相談を受けることもありますが、住田さんはここにも誤解があると指摘します。
「寝返りをしない赤ちゃんはいません。大事なのは、 寝返りをしても顔を横に向けたり、自分で頭を上げたりできる力を、昼間のうちに育てておくことです」
具体的には、大人が必ずそばで見ている状態でのうつぶせ練習を日中に取り入れ、顔を持ち上げる・横に向ける筋力を育てておくことがすすめられています。寝返り防止のクッションなど、動きそのものを封じてしまう対策については、重さによる負担や、かえって安全な姿勢を妨げる懸念から、住田さんは慎重な立場をとっています。
その上でエルゴポーチのスワドルは、肩のスナップボタンを外すだけで腕を出せる設計で、腕を出したまま引き続き使うことができます。
腕を片方ずつ段階的に出していくことができるので、環境を一気に変えずに赤ちゃんが安心して眠れる設計になっています。「いきなり両手を出すと、赤ちゃんによっては急に自由になりすぎて不安になることがあります。片方ずつ出して慣らしておくと、安心して移行できます」

エルゴポーチでは、新生児期から使うコクーンスワドルバッグから、寝返りやお座りの時期以降に向けた寝袋型のスリーピングバッグまで、成長に応じたラインナップが用意されています。サイズは月齢ではなく、赤ちゃんの体重を目安に選びます。 最初の数ヶ月だけの付き合いではなく、成長に合わせてスワドルからスリーピングバッグへの移行ができるので、長期的にお子さんに寄り添う使い方が可能です。
ではここで、スワドルに関して質問されたときの伝え方をみていきましょう。
場面①:「体温調節できなくならないか心配」と相談されたとき(妊娠後期〜退院指導)
「おくるみや服と同じように、スワドルも生地の厚さで温かさを調整できるんですよ。エルゴポーチは、TOGという数値で生地の厚さが分かれていて、室温計付きの着せ方ガイドを見ながら、中に着せる肌着を室温に合わせて選べます。 暑すぎる・寒すぎるを感覚で判断しなくていいので、着せすぎ・着せなさすぎを防ぎやすいですよ」
場面②:「寝返りが始まったら、すぐにやめさせないと」と不安そうなママへ(生後3〜4ヶ月頃)
「寝返り自体は赤ちゃんの成長の証なので、妨げる必要はありません。大事なのは、昼間の安全な時間に、うつぶせの練習をして、顔を動かす力をつけてあげることです。エルゴポーチのスワドルは、肩のボタンを外すだけで腕を出せるので、 急に環境を変えずに、段階的に卒業していけますよ」
場面③:商品名を聞かれたとき、選び方のポイントを伝える場面
「スワドルを選ぶときは、股関節を妨げない設計かどうか、体温管理がしやすいかどうかを見てあげてください。エルゴポーチは、M字姿勢を妨げない設計に、TOG表示での体温管理、オーガニックコットンの通気性を組み合わせているので、この3つがそろっているものなら、根拠を持ってすすめやすいと思いますよ」
スワドルは、使えば必ず眠るようになる魔法の道具ではありません。赤ちゃんには、もともと自分で眠る力が備わっており、スワドルはその力を安心して発揮できる環境を整える選択肢の一つです。
弊社スタッフ(助産師)も取材の中で、「カルチャーの浸透を止めているのは、私たちかもしれない」と言葉を漏らしていました。不安を言葉にできないまま、なんとなく避けている方が多いのだとしたら、その不安を解く情報を届けられていないのは助産師としてまだまだできることがあるのかもしれません。
知識をアップデートした上で、目の前の赤ちゃんとママの状態に合わせて専門的にアセスメントし、そのご家庭に合った選択肢を手渡していきたいものです。
正直に言うと、私自身も取材前は、スワドルに対して漠然とした不安を持っていました。手足を包むことや、卒業のタイミングについて、きちんと調べたことがなかったからです。
今回の取材を通じて、その不安の多くが「知らなかっただけ」だったことに気づかされました。力になりたい気持ちがあっても、根拠を持って説明できなければ、助産師は踏み込んだ提案をためらってしまいます。だからこそ、私たちの引き出しを少しずつ増やしていくことが、目の前のママと赤ちゃんの選択肢を広げることにつながるのだと改めて感じました。
助産師からも「選び方の根拠が分かりやすい」と支持を集めるエルゴポーチ。詳しく知りたい方は、ぜひ公式オンラインストアをチェックしてみてください。
▼ エルゴポーチ 公式オンラインストアはこちら
https://weskiii.com/collections/ergopouch