【2024年版】助産師なら受けておきたい!母乳育児の研修を紹介
- 母乳育児支援
- 助産師のスキルアップ
- 資格取得
母乳育児研修は、赤ちゃんや母親へ関わりサポートする助産師・看護師・保健師などの医療従事者や、子育て支援機関の職員などが受講することができる研修です。母乳育児の方法や、母乳育児に対し不安を抱える母親をサポートするために、必要不可欠なスキルや知識を身につけることができます。これにより、母乳育児を希望する母親に対して適切なアドバイスや支援を提供することができ、赤ちゃんや母親の健康促進に貢献することができます。母乳育児に関する最新の情報や技術を学び、専門的なスキルを磨くために、定期的に研修を受講しながら、スキルアップや情報のアップデートを図ることが大切です。
母乳育児研修の内容
母乳育児研修は、助産師や産科看護師などの専門職向けに特化した研修プログラムです。母乳育児に関する専門知識やスキルを深めることに焦点を当てており、より高度な支援を提供できるようにすることを目的としています。
母乳育児研修の主な内容は以下の通りです。
- 母乳の生理学と栄養学
- 母乳育児の重要性やメリット母乳分泌を増やす方法や、授乳ポジション
- 母乳の質と量を評価する方法
- 母乳低供給の原因と対処法
- 授乳の評価とサポート
- 母乳育児中の問題点・合併症、その解決方法
- 母親の栄養と授乳時の食事
- 母乳育児における心理的サポートとコミュニケーションスキル
- 最新の研究やガイドラインに基づいた授乳支援の実践方法 など
母乳育児研修
1.母乳育児研修公益社団法人 桶谷式母乳育児推進協会
桶谷式母乳育児とは、助産婦・桶谷そとみ(1913-2004)が考案した乳房マッサージと母乳育児方法で正式には「桶谷式乳房管理法」といいます。
第2次世界大戦の最中、母乳が足りず栄養状態が悪いために命を落としていく赤ちゃんを目の当たりにするというつらい経験から、桶谷そとみは「母乳は出るものであり、出せるようにしなければ」という思いで試行錯誤の末、お母さんに苦痛を与えず乳房の調子を整える独自のマッサージ方法を確立していきました。
また、お母さんの乳房の調子や体調が良好であること、心身ともに健康であることが、その母乳を飲む赤ちゃんの健康や順調な発育につながるという「母子一体性の理念」を提唱し、哺乳動物である人間がもつ本来のリズムを大切にすることを訴えました。
桶谷式母乳育児推進協会の認定を受けた母乳相談室(助産院)は全国に約330施設あります。来院時のおっぱいの悩みはさまざまですが、一番多いのは母乳が足りない、または足りない気がするという母乳の量に関する相談です。他にも「生まれたばかりでおっぱいが上手に飲めない」「おっぱいが腫れて痛い」「そろそろ断乳(卒乳)したい」など赤ちゃんが生まれてから、母乳育児を終えるまでのさまざまなご相談に対応し、楽しく、元気に母乳育児ができるよう、お母さん、赤ちゃんをサポートしています。
研修内容
受験資格:助産師の有資格者・但し助産師として臨床経験年数3年以上
研修期間
1年間(4月・10月入学)
定員:4月生8名・10月生8名
受講料:入学金300,000円・授業料1,488,000円・認定料50,000円
受講内容
①専門科目Ⅰ :Zoomによるオンライン授業
桶谷式乳房管理法理論:桶谷そとみの提唱する母子一体性の理論に基づく母乳哺育を理解し、理論 を臨床で活用する方法について学びます。
桶谷式乳房管理法実技:桶谷式乳房手技の原理を学び、乳房模型を使って手技操作を段階的に学んで いきます。
臨床特別講義:現在地域で開業している桶谷式乳房管理士から、桶谷式についてより深く、実際の 活動方法について学びます。
基礎実習:研修センターに併設されている「オケタニ母乳育児相談室早稲田」で手技と支援方法の 基本を学びます。
本部実習:関東地区で母乳育児相談室を開業しているベテランの桶谷式乳房管理士から、主に桶谷 式乳房手技実技について個人指導を受けます。
地域実習:研修生の出身地域で開業している桶谷式乳房管理士から個人指導を受け、地域開業につい て学びます。
②専門科目Ⅱ:母乳育児支援に関連する講座
乳房学、乳房疾患と外科的治療、小児の運動発達、乳児の哺育行動、乳幼児の発育・発達、カウン セリング技法、乳幼児精神医学、子別れの心理学、看護研究と統計学、地域助産師活動、母乳の生 化学、アレルギー、食物栄養学、食育、健康法、身体技法、母乳にまつわる話題、その他
3.非営利活動法人 日本ラクテーション・コンサルタント協会(JALC)
「すべての親子にとって、適切で心地よい乳幼児栄養支援が受けられる社会を目指します」
NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会とは、国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)及びその他の母乳育児支援にかかわる専門家のための非営利団体で、1999年1月に有志によって設立され、2007年1月に特定非営利活動促進法(NPO法)に基づきNPO法人として認証されました。
IBCLCは、母乳育児がうまくいくための支援に必要な、一定水準以上の技術・知識・心構えを持つヘルスケア提供者です。IBCLCは予防的なヘルスケアに焦点を当て、産前・産後を通して自分でできる対処法(セルフ・ケア)を促し、母親が自分で意志決定をするよう励まします。また、病院・診療所・地域・開業などのさまざまな立場で問題解決法を用いてアプローチし、適切な情報提供や提案、適切な場への紹介を行います。
IBCLCの資格は、アメリカに本部を置くラクテーション・コンサルタント資格試験国際評議会(International Board of Lactation Consultant Examiners:IBLCE)が1985年から毎年実施している全世界共通認定試験に合格することによって得られます。IBLCE認定プログラムは、1988年以来30年間にわたり米国NCCA(National Commission for Certifying Agency)認定基準に継続して認定されている数少ないプログラムです。この資格は、看護師、助産師、保健師、医師、ソーシャルワーカー、栄養士、理学療法士、教育者等の専門職をはじめ、母乳育児支援経験と確実な知識体系を持つ非専門家にも広く門戸が開かれています。
JALCのミッション
①母乳育児の知識とスキルを支援者が学ぶ場を提供します。
②「乳幼児栄養支援」に関する栄養学・免疫学・心理学・社会学を含む科学的根拠に基づく情報を 社会へ発信します。
③母乳代用品(乳児用調整乳等)の適切な取扱いについて「母乳代用品のマーケティングに関する国 際規準」と世界保健総会の関連決議を遵守した情報を発信します。
④IBCLCの実践。
JALCの活動
① 母乳育児支援や乳児栄養に関する学習会の開催・後援
②母乳育児支援基礎セミナー開催の推進、ファシリテーターの支援
③乳児栄養の国際的な動向やガイドラインの紹介
④母乳育児支援のための出版物・記事・カレンダーなどの制作、広報活動
⑤ガイドライン等に対するパブリックコメントや改定案の作成
⑥国内外の母乳育児支援組織との連携
JALC主催学習会・研修会・セミナー
現地参加、ライブ配信・オンデマンド配信にて受講できます。
受講するものによって受講料に変動があります。
4.Mamas’ Care 乳房ケア技術研修
「ママズケアはママと赤ちゃんの応援団」
助産師・南田理恵は、22年に及び心に寄り添う乳房ケア技術を研究し、約20,000人へのケアを施す中で、一定の技術を確立いたしました。また、中国漢方医科大学での研修などにより、研鑽をつみました。この「心に寄り添う乳房ケア」技術は、柳瀬ワイチ(株)カネソン本舗さまとの、助産師向け研修会を全国で行い、普及を図っておりますが、十分な技術を身につけていただくためには、長期的な研修により、独立開業できるだけの技術の習得と、トラブル時の対処法などを伝えることが必要と考え、研修制度を実施するに至りました。
専門職向けスキルアップ講座
ママズ乳房ケア(旧:すいな式乳房ケア)技術研修(助産師・専門職の方向け)
短時間でも行えるため日常のケアに活かせる
・NICUや外来などで着衣し座位でのケア
・産褥入院中の短時間でのケア
時間をかけてじっくりケア母乳外来や助産院での活用
・産後ケアとして新生児期を過ぎた母親への育児指導とケア
・母乳外来でのケア
・助産所開業におけるトラブル時や幼児へ授乳中の方へのケア
受講内容
受講資格:助産師・看護師など専門職としてのキャリアアップ、職場でのスキルアップを目指す方
「心に寄り添う乳房ケア」の手技を全て習得し妊娠中から卒乳時・トラブル時の指導やケアが行えることを目指す方
研修期間:最長12ヶ月間、特別な事情がない場合は、研修開始12ヶ月を経過した時点で研修終了。
①基本を学ぶ:オンラインまたは会場講義(STEP1)
受講料:一般16,500円(税込)、ママズケアアカデミー会員5,500円
②応用の手技を身につける:宿泊または通所
受講料:STEP2 66,000円、STEP3 286,000円
5.NPO法人 BSケア
理事長の助産師・寺田恵子(アドバンス助産師)、その他の幹事助産師と共通の思いを持った11人の仲間達と共に、2002年に開発された乳房ケアのことです。
BSケアとは、赤ちゃんの母乳吸啜メカニズムにならって手を動かす「母子に寄り添う癒しの乳房ケア」のことを言います。BSケアのBとSは、BreastまたはBabyのBと、Babyが母乳を吸うSucklingのSです。BSケアは、赤ちゃんが母乳を飲むだけでは乳房に現れた現象が癒されないときに、赤ちゃんに代わって乳房を癒す方法です。赤ちゃんの吸い方に倣ってケアを行うことから、一般的に行われている、乳房全体を揉んだり動かしたりする概念はありません。赤ちゃんが母乳を飲むときに吸う“乳首”に行うケアです。BSケアの手のリズムは、母乳吸啜の二相性のリズム(NNS様のリズムとNS様のリズム)。そのリズムによる刺激をお母さんの脳に届け、ホルモン分泌を促し、必要な乳腺からのみ排乳することで、現象の解決を目指します。さらに、BSケアでは、乳房のみにとどまらず心身両面を癒し、お母さんと赤ちゃん、家族にとっての幸せな母乳育児を支援したいと考えています。乳房に現れた現象の背景を心身の両面からとらえ、寄り添う姿勢を大切にしながら、お母さんを取り囲む環境や社会と向き合い、看護の基本姿勢であるケアリングの考えを大切にします。そのような理由から、BSケアは乳房マッサージや乳房管理ではなくケア(Care)と表記しました。
NPO法人BSケア®は、痛くない乳房ケア『BSケア®』の技と、倫理的態度・ケアリング姿勢を土台にすべてのお母さまと赤ちゃん、そしてそのご家族が、安心感に包まれ、喜びを感じながら育児できる世の中の実現を目指して活動しています。
BSケアを学ぶ
ベーシック・アドバンスセミナーを受講することで、その日からBSケアを実践できる内容となって います。BSケア全般の理解が深まり、対応できる現象の幅が広がります。
①ベーシックセミナー
ベーシックセミナーでは、BSケアの基本の考え方を理解した上で、乳房模型を使いながら、手の置き方や指の使い方などを学びます。一日のセミナーを終えた後には、温かな手と心が身に付き、自信をもってお母さんに向き合えるようになります。
受講料:27,500円
②アドバンスセミナー
アドバンスセミナーでは、基本の型を復習し、特殊な型や具体的な支援方法を学びます。基本の型だけでは、どうしても越えきれなかった壁に悩まれている方も、特殊な型を身につけることで、効率的なケアが実践できるようになります。赤ちゃんが見せるしぐさの意味、赤ちゃんの癒しの吸啜について学び、BSケアの技能を深めることができます。
受講料:38,500円
③スキルアップセミナー2日間
1日目:『病的緊満の予防と吸着困難への対応』~入院中から退院早期のBSケアの実際~
2日目:『乳腺炎重症化予防のためのケアリングを学ぶ』~BSケアの技を習得~
受講料:一般33,000円・正会員27,500円
④集中して短期間でで学ぶ短期習得プログラム
ベーシックセミナー+アドバンスセミナー+スキルアップセミナーを4日間で受講できます。
受講料:220,000円
⑤フォローアップ研修 復習会
復習会は、BSケアの基本の型・特殊な型の学びの過程を復習することで、しっかりと身につける ことができ、地域のプレゼンターや受講者とのつながりを深めることもできます。
受講料:5,000円
今回は、母乳育児支援に関する研修をまとめました。今回まとめたもの以外にもたくさんの母乳育児支援の研修会はあります。母乳育児中のお母さんたちに関わる仕事をしている方にとって、必ずと言っていいほどぶつかる壁であると考えます。母乳育児は、簡単に確立するものではないですし、根気強く関わり支援していくことが必要です。たくさんの研修会や資格取得の機会がありますが、共通して言えることは、お母さんたちの悩みに寄り添い、その時に合ったお母さんたちが必要としている新鮮な情報提供をしていくことです。わたしたち支援者が知識や技術を取得することにより、それは全てお母さんたちに還元されていくということに繋がります。母乳育児の資格や養成講座の先人である先輩助産師のように、常にサポートできる術を身につけておきたいですね。さらには、時代に合った情報や知識・技術にアップデートし続けていくことが求められます。その場に立ち止まらず、変化できる助産師でありたいと思います。
参考文献:
https://jalc-net.jp/index.html
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