
助産師の失敗しない転職時期は?転職経験者から学ぶ年数別の理由とメリットデメリット
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①転職したいけど「今でいいの?」と迷っているあなたへ
「もう限界かもしれない」「でも、もう少し頑張るべき?」
助産師として働く中で、転職を考える瞬間は誰にでも訪れます。しかし、今の職場を離れる決断には、迷いや不安がつきものです。特に「あと1年頑張った方がいい?」「早すぎる転職で後悔しない?」といった“タイミングの不安”は、多くの助産師が抱える共通の悩みです。この記事では、経験年数ごとに異なる転職理由や迷いに寄り添いながら、後悔しない選択をするためのヒントをお届けします。
② 1年目での転職|とにかく“今の環境がつらい”という声が多い
助産師として働き始めて間もない1〜2年目は、理想と現実のギャップに直面しやすい時期です。想像以上の忙しさや、夜勤の負担、先輩からの厳しい指導、人間関係の難しさなどに心身ともに疲れ果ててしまうことも少なくありません。「こんなはずじゃなかった」と思いながら、辞めたい気持ちと、踏みとどまりたい気持ちの間で揺れ動くのがこの時期の特徴です。
この時期のよくある転職理由
- 覚えることが多く、経験が浅いことによるミスや、先輩からの指導がつらい
- 学生時代に思い描いていた助産師像と違う
- 人間関係や指導環境に悩んでいる
メリット:
- 若さと回復力があるため、環境を変えることでリフレッシュしやすい
- 他施設や他職種への再チャレンジがしやすい
デメリット:
- 専門的な助産ケアや分娩介助の経験が浅いため、新しい職場での即戦力になりづらい
- 短期離職は履歴書で印象が悪くなる場合もある
- 何が本当に辛かったのか、明確に整理できていないと転職後も同じ悩みを繰り返す可能性がある
明確な体調不良や精神的ダメージがある場合は、我慢せず転職を検討すべきです。ただし、環境の変化に慣れるまでには誰でも時間がかかるもの。もし人間関係や業務の辛さが一時的な可能性があるなら、信頼できる先輩や外部に相談しながら、あと数ヶ月様子を見るという選択肢もあります。「逃げ」か「前向きな判断」かを見極める冷静さが大切です。
③ 3年目での転職|「このままでいいのか」キャリアに悩むタイミング
3年目に入ると、多くの助産師が一定の技術や判断力を身につけ、「一人前」として任される場面が増えてきます。そんな中で、「このまま今の職場で働き続けるべきか?」「もっと別の場所で経験を積んでみたい」といった思いが湧いてくる人も多いでしょう。自信がついてきたからこそ、今後のキャリアについて真剣に考え始めるのがこの時期です。
この時期のよくある転職理由:
- 一通りの業務ができるようになり、成長が止まったように感じる
- 他の分娩施設、助産院などで違う経験を積みたくなる
- 夜勤や働き方の見直しを考えるようになる
メリット:
- 実務経験があることで即戦力として期待されやすい
- 「助産師として何ができるか」をある程度言語化でき、自己アピールしやすい
- 転職先の選択肢が増える(クリニック・助産院・産後ケア施設など)
デメリット:
- 退職に伴う後輩指導や人手不足のプレッシャー
- 現職の評価を途中で捨てることになる
- 自分の適性ややりたいことが明確でないと、再びミスマッチが起こる可能性も
「もっと学びたい」「違う現場を見てみたい」といった前向きな転職理由があるなら、この時期は行動に移す好機です。ただし、何となくの飽きやモヤモヤだけで動くと、同じような壁にぶつかる可能性も。転職によって何を得たいのか、自分なりのビジョンを明確にしてから動きましょう。
④ 5年目での転職|管理職候補になる前に動く人も
5年目を迎える頃には、リーダー業務や後輩指導など、組織内での役割が増えてきます。それに伴い、「責任が重すぎて苦しい」「人を育てるより、自分の学びを深めたい」といった葛藤が生まれます。また、プライベートでも結婚や妊娠・出産を迎える人が増え、働き方やキャリアの方向性を見直すタイミングになりやすいのがこの年数です。
- この時期のよくある転職理由:
- リーダーやプリセプター業務へのストレス
- スタッフ間の温度差や病棟の方針、暗黙のルールなどへの違和感
- 自分自身の結婚・妊娠・育児などライフステージの変化
メリット:
- 指導経験・リーダー経験など、組織内での役割を武器にできる
- 条件交渉がしやすくなる(夜勤制限・時短など)
- これまでの自分の得意分野・苦手分野を理解して転職できる
デメリット:
- 管理職候補として残留を望まれることも多く、退職しづらい
- 転職先に求められるレベルが上がり、自己成長が問われる
リーダー経験や指導経験を十分積んだうえで、「これ以上は難しい」と感じるなら、次のキャリアに進む良いタイミングです。一方、管理職候補として今の職場で影響力を持てる立場でもあるため、「やりたいことが見えているか」「他の職場で何をしたいか」を明確にしないと、せっかくの経験を活かしきれない可能性があります。
⑤10年目での転職|ライフスタイル・働き方の再考時期
10年近く助産師としてのキャリアを積んできた頃、多くの人が家庭や健康とのバランスに目を向け始めます。子育てや親の介護、管理職としての重責など、仕事と生活の両立に悩む場面も増えてきます。「このまま今の働き方を続けていいのか?」「もっと自分らしく働ける場所があるのでは?」と、自身の生き方そのものを見直したくなるのがこの時期です。
この時期のよくある転職理由:
- 子どもの進学・親の介護など家庭環境の変化
- 後輩教育や管理業務など、責任を負担に感じる
- 自分のキャリアの最終目標を見直したくなる
メリット:
- 多様な経験から、自分の強みや適性を明確に伝えられる
- 信頼性・安定性を評価されやすく、希望する働き方に近づけやすい
- フリーランス助産師、訪問、起業など新たな道も視野に入る
デメリット:
- 転職後の人間関係構築や職場文化への適応に時間がかかることも
- 長くひとつの職場にいた人ほど「初めての転職」に心理的ハードルがある
ライフステージが変わる中で、無理を重ねて働き続けることは本人にも家族にもリスクがあります。働き方を見直したい気持ちが強いなら、転職や働き方の変更に踏み切る時期かもしれません。ただし、転職によって希望の働き方が本当に実現できるかを事前にしっかり確認しましょう。条件だけでなく、自分が何を大切にしたいかを軸に考えるのがポイントです。
⑥ 転職経験者のリアルな声
- 「1年目、分娩中にうまく声かけができず、先輩に『それじゃ不安にさせるだけだよ!』と強く言われて、自信が一気になくなりました。夜勤明けで帰っても眠れず、毎日泣いてました。正直、辞めようと何度も思いました。でも、2年目の春にプリセプターが変わって、分娩のあとに“よく声かけできてたよ”って初めて褒められたんです。そこから少しずつ前向きになれて、今は『あのとき辞めなくてよかった』と思えます」(20代・総合病院勤務)
- 「業務にも慣れて、一通りのことはできるようになったけど、心の中にずっと『このままでいいのかな』という違和感がありました。命の誕生に関わる仕事のはずなのに、毎日業務に追われて“赤ちゃんを迎える喜び”を共有できていない気がして。そこで地元の産婦人科クリニックに転職しました。最初は戸惑いもありましたが、一人の妊婦さんと妊娠期から産後までじっくり関わることで、“ああ、これが私のやりたかった助産”なんだと感じられるようになりました」(30代・産科クリニック勤務)
- 「5年目になるとリーダー業務も増えて、後輩の相談に乗ったり、新人育成にも時間を取られるようになりました。やりがいはあるけど、自分の学びやケアに集中できる時間がどんどん減って……。また、夜勤の疲れが取れにくくなってきたのもあり、このまま続けるのはきついなと。ちょうどそのタイミングで産後ケア専門施設の求人を見つけて、見学に行ったら“ここで働きたい”と思えたんです。今は夜勤もなく、1人1人のママと深く関われる今の働き方が気に入っています」(30代・産後ケアセンター勤務)
- 「10年働いて管理職の話も出てきた頃、家庭の事情で夜勤が続けられなくなり、初めて“転職”を視野にいれました。でも、ずっと同じ病院だったから、他の職場に行くのがすごく怖くて……。悩んでいるとき、前の同期が訪問型の助産師をしていると聞き、話を聞きに行ったんです。思い切って見学して、その後非常勤として働き始めたら、自分のペースで家庭と両立できる働き方に出会えて。『もう遅いかも』って思ってたけど、転職して本当によかったと思っています。」(40代・訪問助産師)
転職の「正解の時期」は、ありません。大切なのは、今の自分がどんな働き方を望み、どんな未来を描いているのか考えることです。
たとえ経験年数が浅くても、心身の不調が深刻であれば転職は前向きな選択です。逆に、3年・5年と働いていても、「なぜ辞めたいのか」がはっきりしないまま動き出すのは危険です。

⑦ 転職を考え始めたあなたへ|チェックポイント
◎すぐに転職を検討すべき人
- ハラスメントやいじめなど人権を侵害されている
- 身体症状(不眠、吐き気、涙が止まらないなど)が出ている
- 職場で医療安全にかかわる問題が放置されている
◎一度立ち止まって考えた方がいい人
- 「なんとなく合わない」「なんか嫌だ」程度で整理できていない
- 繰り返し同じ理由で悩んでいるが、相談や環境調整をしていない
- 転職先に求める条件が漠然としている
「なんとなく今の職場が合わない気がする」「このままでいいのかな…」という漠然とした違和感だけで転職を決めるのは、少し危険です。なぜなら、その“モヤモヤ”の正体をはっきりさせないまま環境を変えても、同じような悩みを繰り返す可能性があるからです。
たとえば、職場への不満が「人間関係」なのか「働き方」なのか、それとも「自分の価値観やライフステージとのズレ」なのか。自分がどんなことにストレスを感じ、どんな働き方を理想としているのかを整理することが必要です。
①頭の中だけで悩まず、紙に書き出してみる
(「不満」「理想」「自分ができること」など)または誰かに話してみる。
たとえば、こんなふうに自分に問いかけてみてください。
- 最近、どんなときに「しんどい」と感じている?
- 逆に、仕事の中で「楽しい」「うれしい」と思える瞬間はある?
- どんな働き方ができたら、今よりラクになる?
- 今の職場で「嫌なところ」ばかりに目がいっていない?
- 苦手だと思っていること、実は「教えてもらえればできる」ことかもしれない?
これは自分との小さな対話です。転職は「思いついたら即行動!」というものではありません。気持ちがはっきりしないときこそ、少しだけ立ち止まって、自分の本音を見つける時間を大切にしてみてください。それが、納得のいく転職につながる第一歩になります。
このように、自分の思考や希望を“見える化”することで、「今すぐ動くべきか」「今の職場でもう少しできることがあるか」の判断材料になります。また、気持ちや価値観の整理を行っておくことで、いざ転職を決意したときにも、ブレずに求人を比較し、自分に合った職場を見極める力がつきます。これは転職活動の成功率を高める大きなポイントです。
②助産師の先輩に相談してみる
職場の同僚や転職経験のある助産師の先輩に相談できるようであれば、自分の現状や悩み、希望するキャリアに対してアドバイスをもらうこともオススメです。しかし、身近にそのような先輩がいなかったり、同じ職場で話しづらいという場合もあるでしょう。
そのような時には、じょさんしcareerに相談してみませんか。じょさんしcarrerでは助産師が転職や希望するキャリアにあった仕事や働き方を探す相談やサポートを行っています。自身の悩みや理想とするキャリアをお聞きした上で客観的視点でアドバイスし、今本当に転職が必要なのかを整理したり、必要であれば転職をするためのサポートを行います。まずは自分が何に不満や不安を抱いているのか洗い出したり、大事にしたい自分の価値観や考えの整理をしたりするために、一度フラットな気持ちになって言葉にしてみませんか。
助産師の転職は、決して「逃げ」ではありません。
むしろ、自分の心と体、そしてこれからの人生と真剣に向き合う、前向きな選択です。
確かに、年数によって転職のメリットやリスクはあります。でもそれ以上に大切なのは、「他人のタイミング」に縛られすぎず、自分の価値観や体調、生活環境に合った判断をすることです。
今「辞めたいかも」「もっと自分らしく働ける場所はないかな」と思っているなら、それは大切なサインです。すぐに転職する必要はありません。まずは“情報を集めてみる”ことが、最初の一歩になります。
じょさんしcareerでは、助産師が一人ひとりの不安や悩みのヒアリング、相談を行っています。必ず転職を勧めるわけではなく、やりたいことや希望するキャリア、大事にしたい価値観にあったキャリアプランや就職先を一緒に考えていきます。一人ではなかなか前に進めずにいる人、ちょっと悩んでいるという段階でもまずはお気軽に相談してください。
あなたが助産師として、そしてひとりの人として、心地よく働ける場所に出会えますように。
