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【最新】男性は助産師になれないの?課題と男性助産師の未来

  • 男性助産師
  • 海外の実情
  • 助産師の歴史
SUMMARY
この記事でわかること
 助産師は、現在の日本では法律で女性しか就けないと定められている職業です。助産師の歴史は紀元前1900年からあるとされていますが、日本では未だに男性助産師は存在していません。しかし、海外では男性助産師が認められている国もあります。なぜ日本では男性助産師が認められないのか、海外の男性助産師の実情も合わせてまとめていきます。

男性助産師の現実

 「助産師」という言葉を聞いた時、多くの人が思い浮かべるのは女性の姿ですよね。しかし、世界をみると男性も助産師になることが可能です。ただし、男性がこの職業に進む道は決して簡単ではありません。

 日本でも何度か法律改定の際に男性助産師を認める動きがありました。しかしその度に、多くの反対意見によって白紙になってきました。現在の日本でも、男性が助産師として働くことに対してまだ多くの課題が存在します。

 もちろん日本だけではなく、多くの国や地域では、男性が助産師になることを法律で制限しています。また、一般的にも「助産師は女性の仕事」という固定観念や先入観が根強く、男性がこの分野で働くことが困難な現状があります。これはやはり多くの人が、出産というデリケートな時期に、異性である男性が関わることに対して不安や抵抗を抱きやすいということです。

 さらに、助産師の業務は出産だけではありません。授乳や育児相談、性生活への指導などセクシャリティな場面に立ち会うことも多いです。また、女性は妊娠〜産後を通してホルモンの影響により、心身に大きな変化が生じます。ホルモンバランスによるメンタル面への影響は、男性が寄り添うにはとってかなり難易度の高い課題であることは間違いないですよね。男性助産師が認められた場合には、専門職として理解すべきとはいえ実体験が伴わないため、想像の範囲内でしか理解ができないという難しさがあります。

 このように、男性助産師の実現には「異性に心や体の相談をしにくい」「プライベートゾーンを見られることへの抵抗感」など多くの壁があります。

社会の変化

 イギリスは世界に先駆けて、いち早く男性助産師を導入した国です。1980年代前半には現場で男性助産師が働き始めたという実績があります。女性助産師や妊産婦からの大きな反対があったものの、当時のイギリスではあらゆる職業における性差を撤廃する動きが大きく、イギリス政府は最終的に男性助産師の現場参入を認めたそうです。日本では2002年にようやく「助産婦・看護婦」が「助産師・看護師」へ改定されたことを考えると、男女平等な職業選択という点でとても先進的ですよね。

 このように社会の変化とともに、男性助産師に対する見方も徐々に変わりつつあります。多様性という言葉を多く使われるようになった現代では、性別に関係なく、すべての人が自分の適性や希望に応じて、職業を選択できるべきだという考え方が広がっています。このような社会の変化は、男性助産師が認められることへの後押しになるかもしれません。

海外からみる男性助産師のメリット

 助産師のうち1%が男性というアメリカでは、実際に分娩へ関わるような臨床の現場で働いている人は少ないです。多くの男性助産師は、行政に関わる医療政策や、研究などの分野で活躍している人が多いようです。

パンダ先輩

 日本の政治の現状をみてみましょう!

国会や地方議会の女性の割合はたったの10%程度しかおらず、まだまだ圧倒的に男性議員の割合が多いです。もちろん女性議員を増やしていく動きも必要ですが、母子保健を手厚くすることを考えた時に、男性助産師が周産期の専門家として行政で活躍できることはとても魅力的な未来だと思います。

日本で考えられる男性助産師のメリット

 不妊治療が増えている今日では、男性助産師の役割が増えるでしょう。男性要因の不妊はもちろん、不妊治療の現場に女性看護師しかいないということは、不妊治療中の男性の肩身を狭くする要因になっていると考えられます。男性と女性では、不妊治療に対する思いや悩みが異なることが多いですよね。もちろん夫婦で同じ悩みを抱えていても、同性目線で寄り添うことができる男性助産師はメリットが大きいでしょう。もちろん男性看護師でも支障はないのですが、周産期に特化した知識を持つ男性助産師が現場にいることで、心身ともにニーズを満たすことが可能になるでしょう。

 また、性教育の場面でも活躍が見込めます。思春期世代への指導は、異性の講師だと恥ずかしさ等から真剣に話を聞くことができないということもありますよね。さらに同性同士だからこそ、気持ちの面で理解できることも多いと思います。そのほかDVや児童虐待の場面でも、女性助産師からの意見だけじゃなく、男性助産師からの意見があれば、良い方向に変わることもあると考えます。

 臨床においての男性助産師の役割について考えていきましょう。近年では父親を含めた産前産後の教育が重要視されています。核家族世帯が増えたことで、両親からのサポートを受けられず夫婦での育児が主体となっています。男性育休も徐々に広まっている中、男性の主体的な育児参加や家事分担なども、同性である男性助産師からの指導の方が受け入れられやすいと思います。さらには、集中治療のNICUやGCUにおいても、男性・父親目線での意見やケアが必要だと考えます。育児は夫婦で行うものだからこそ、父親の気持ちのケアや関わりも重要だからです。

 また、一番ネックといわれている分娩についても考えてみましょう。男性助産師が分娩に関わることで、産婦の夫が出産の場面で積極的に参加、サポートする姿勢を促進することができます。同性の医療者の関わりをみて、「男性にはお産のことはわからない」という先入観を取りはらうことができるからです。分娩中にも夫が主体的に産婦へのサポートができることで、家族の絆を強化し、出産の体験を夫婦ともに、より豊かにすることができます。

まとめ

「助産師=出産に立ち会う」という強いイメージが、一般的にも私たち助産師にも深く根付いている影響で、男性助産師への抵抗が強くなっています。しかし、以上で述べてきたように、助産師の仕事は分娩介助だけでも、臨床だけでもありません。様々な働き方があるからこそ、男性の意見も重要であり、家族やカップルの男性へ向けた指導という点で、同性による指導の方が理解や共感が得られやすいでしょう。

パンダ先輩

 男性助産師が認められるにあたって、現時点でも多くの課題はありますが、得られるメリットも大きいと考えます。性別による職業の隔たりをなくすことは、平等で公正な社会への一歩にも繋がりますよね。

 将来的には、法律や社会の意識が変わり、男性がハードルを感じずに助産師として働けるようになることを期待しています。

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