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産褥期(育児)
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2025

助産師が知っておきたい|0歳児によくある肌トラブル7選と基本ケア

  • 肌トラブル
  • 新生児
  • スキンケア
SUMMARY
この記事でわかること
赤ちゃんの肌は大人に比べてとても薄く、水分保持力や皮脂分泌が不安定です。そのため、0歳児の肌はちょっとした刺激や環境変化でもトラブルを起こしやすい特徴があります。助産師として赤ちゃんの肌のトラブルを理解し、ママたちに適切なケア方法を伝えることは、信頼関係を築き育児支援を深めるうえでもとても大切です。 この記事では、0歳児に多い7つの代表的な肌トラブルとその特徴、予防法、ケアのポイント、さらに保護者への声かけのヒントを紹介します。 赤ちゃんの肌トラブルの多くは、重篤な状況に陥ることはありません。しかし、発赤や湿疹、乾燥などのちょっとした変化でも、保護者にとってはとても気になるものです。「大丈夫なの?」「どうすればいいの?」と不安を抱えながらケア方法を探している方も多く、思っている以上に助産師からの情報を必要としています。ここでは、0歳児に多い肌トラブルとそのケアについて、現場で役立つ知識を整理してご紹介します。

1. 新生児ざ瘡

いわゆる赤ちゃんのニキビです。生後2週〜3か月頃に、顔(特にほほ・額・あご)に赤いブツブツや白い膿をもったニキビのような発疹が現れます。

原因

胎内で母体から受け取ったホルモンの影響により皮脂分泌が一時的に活発になるためです。

ケアと対応

  • 特別な治療は不要で、1〜2か月で自然に改善します。
  • 無理に潰したり、触りすぎないように注意しましょう。

2. 乳児脂漏性皮膚炎

頭皮や眉毛、額、眉間、耳の後ろに赤みやブツブツ、黄色っぽいかさぶたやフケのような皮膚のめくれが見られます。皮脂の分泌が落ち着いてくる生後3か月ごろには自然と症状も軽快してくることが多いです。

原因

新生児ざ瘡と同様、皮脂の分泌が盛んなことによる皮膚の炎症です。また皮脂が盛んになることで常在菌が増殖することが原因となる場合もあります。

ケアと対応

  • かさぶた部分は無理に取らず、ベビーオイルなどでふやかしてから洗い流します。
  • かさぶたがとれないときには無理にはがさないようにしましょう。

3. あせも(汗疹)

首、背中、わき、ひざ裏など、皮膚同士が重なって汗がたまりやすい部分に赤い小さなブツブツができます。

原因

汗腺が未熟なため汗がうまく排出されず、皮膚にたまって炎症を起こすからです。

ケアと対応

  • 室温・湿度を調整し、通気性のよい衣類を選びましょう。
  • こまめに汗を拭き、必要に応じてぬるま湯のシャワーや沐浴をしましょう。
  • 軽度なら特別な薬は不要です。ただれてくるようであれば小児科や皮膚科を受診し薬の相談をしましょう。

4. おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)・よだれかぶれ

おむつかぶれではおしりや太ももの付け根、外陰部など、おむつが当たる部分に赤み、ただれ、ヒリヒリ感のあるかゆみなどが現れます。よだれかぶれでは口まわり、あご、首に赤みやただれの症状が現れます。離乳食開始後や歯が生え始める頃に増加しやすいです。

原因

おむつかぶれはおしっこやうんちに含まれるアンモニアが刺激となって皮膚が炎症を起こすことがあります。その他にもおむつやお尻拭きで頻回に肌が擦れることによる摩擦刺激や、おむつ内の湿潤環境による蒸れなども皮膚の炎症を起こす原因となります。さらにカンジダというカビの一種が原因となっている場合もあります。

よだれかぶれはよだれの刺激や、拭きすぎによる摩擦、食べ物のかすが刺激となって皮膚に炎症が起こります。

ケアと対応

  • おむつ替えをこまめに行い、しっかり乾かして保湿をしましょう。
  • おしりふきで強く擦りすぎないようにしましょう。
  • うんちが皮膚にこびりつくときは水分を多く含んだ綿花などでふやかして拭き取りましょう。
  • よだれをやさしく押さえるように拭き、ワセリンなどで保護します。
  • 食後や授乳後の口まわりを優しく拭い、保湿をしましょう。

ひどい場合は皮膚科や小児科を受診し亜鉛華軟膏などを使用します。

5. 乾燥肌(皮脂欠乏性湿疹)

皮膚がカサカサして白く粉をふいたような状態です。特に冬場や空気が乾燥している時期に多く見られます。

原因

生後3か月以降は皮脂の分泌が減少し、肌のバリア機能が弱くなるために起こりやすくなります。

ケアと対応

  • 衣類や寝具の素材は綿素材など低刺激なものにしましょう。

6. 乳児湿疹

顔や体に赤みや湿疹がみられます。特に頬や顎、額など突出したような部位に好発しやすいです。アトピー性皮膚炎の場合はかゆみを伴うこともあります。

原因

新生児や乳児の皮膚のバリア機能が未熟であるために乾燥や汗、よだれ、衣類の刺激、アレルゲンなど様々なものが刺激となり湿疹になります。アトピー性皮膚炎の初期症状として出る場合もあります。

ケアと対応

  • 悪化した場合は皮膚科や小児科を受診し、ステロイド外用薬の使用を相談してみましょう。

7. アトピー性皮膚炎

生後2か月頃から、頭や顔にかゆみのある湿疹ができはじめます。その後耳の付け根や、肘、膝の内側など皮膚同士が重なるような部分がきれたり、関節の外側がカサカサになったりします。かゆみが非常に強く、搔きすぎて滲出液がでたり、ただれてしまったりして増悪するケースもよくあります。かゆみがあって2か月以上続くことが特徴で、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返します。

原因

皮膚のバリア機能が未熟であったり、その他の皮膚トラブルによって低下している時にアレルゲンが肌から侵入し、免疫細胞と結び付くことで炎症を起こすと言われています。

ケアと対応

  • 皮膚科や小児科で処方された薬を正しく使用しましょう。

助産師として伝えたいポイント

① 肌トラブル=ママのせいではないことを伝える

保護者、とくに初産のママは「赤ちゃんに肌トラブルがある=何か悪いことをしてしまった」と感じがちです。肌トラブルの多くは成長過程の一環であり、誰にでも起こり得ることをやさしく伝えましょう。原因を伝えてあげるとより納得できるかもしれません。

②肌を「洗う」「保湿する」が基本ケア

肌を守る基本は「清潔・保湿・刺激を避ける」ことです。沐浴やスキンケア方法について具体的に教えることで、家庭での実践や継続も高まります。

「洗う」ときのポイント

・弱酸性の泡タイプの石鹸を使用し泡で優しく洗うこと

・泡を洗い残さないように流すこと

「保湿する」ときのポイント

・無香料で保存料やアレルゲンの入っていない保湿剤を使用すること

・沐浴後すぐに保湿をすること

・保湿剤を全身にたっぷり使用すること

③ 必要に応じて専門職との連携を

皮膚科受診が必要なケースや、アトピー性皮膚炎の可能性がある場合は、早めに医療機関と連携を取ることが大切です。保護者が不安を抱える前に「様子をみるポイント」と「受診の目安」を具体的に伝えておきましょう。


乳児、特に新生児の肌は非常にデリケートです。日々のケアの積み重ねの差で快適さが大きく変わります。助産師は、育児のスタートに関わる専門職として、肌トラブルの予防や対応方法を保護者にわかりやすく伝え、安心を届けられる存在です。0歳児の肌トラブルの多くは「病気」ではなく、「発達」の一部です。必要以上に不安を与えず、正しい知識と丁寧なサポートで、赤ちゃんと家族に寄り添っていきましょう。

【参考文献】

  1. アトピー性皮膚炎 | 国立成育医療研究センター
  2. 『おむつかぶれ』の原因・症状・治療法【症例画像】|田辺三菱製薬|ヒフノコトサイト
  3. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018
  4. 乳児湿疹とアトピー性皮膚炎.pdf

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