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産褥期(育児)
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2025

助産師が知っておきたい断乳の基本|そのままママへ伝えられるタイミング・準備と対応

  • 断乳
  • 卒乳
SUMMARY
この記事でわかること
産後、復職のために断乳を検討しているけど、どう進めていいかわからないという相談を産後ケアの時に聞かれることがあります。助産師として、断乳のタイミングやおっぱいケア、相談に乗ることはあると思います。そんな時に使える説明のポイントをまとめました。 「職のために断乳したい」「次の子の妊娠を考えたい」など、断乳を検討するママはいます。そのようなママから相談をされたとき、自信をもって断乳のステップを伝えることができますか?断乳は徐々に進めていく必要があるため、助産師のケアは重要になります。自信をもってケアができるためのポイントをまとめました。

1.断乳とはー卒乳との違いー

 断乳とは、ママの意思で授乳をやめることをいいます。卒乳は赤ちゃん自身が自然におっぱいを卒業することをいいます。

2.ママが断乳を選択する理由

 ママが断乳を選択する理由として、4ヶ月未満などの月齢が早い時期では、「乳頭が痛い」「乳腺炎を繰り返す」「薬の内服」などの理由が挙げられます。また、不快性射乳反射という、授乳のたびに気分が落ち込むから断乳したいという理由もあります。4ヶ月以降からだと、「おっぱいばかりを吸って離乳食を食べてくれない」「赤ちゃんの歯が当たって痛い」「復職のため」「妊娠した」などの理由があります。

 おっぱいを止める決断はママにとって大きな決断です。体や心の面から、続けたくても続けられなくて後悔を抱えるママもいます。また、中には理由を聞いて授乳方法を一緒に検討する、母乳育児についての正しい情報提供を行うなどして、やっぱり母乳育児を続けたいというママもいます。ママ自身が納得のできる答えを抱けるように、助産師は思いを聞いて、寄り添ったケアを行うことが大切です。


3.断乳の3ステップ

1) タイミングが適切かどうか

 断乳をしても大丈夫とされるタイミングの目安は以下になります。

①ママ、赤ちゃんともに体調がよく健康なとき

 乳腺炎などのトラブルを起こしやすいママにとって、長時間授乳をしないことは、トラブルを引き起こす要因となります。また、赤ちゃん自身の免疫システムが発達していく過程で徐々に断乳をすすめないと、免疫が不足し感染症などにかかりやすくなります。

②離乳食が3回食になる10か月~1歳ごろ

 母乳は赤ちゃんにとって大切な栄養源のため「母乳に変わる栄養が離乳食からとれている」という点が断乳の1つの目安になります。

③離乳食から幼児食になる1歳半ごろ

 離乳食から幼児食になり、栄養のほとんどを食事からとれるようになる1歳半ごろは、栄養面での心配が少なく断乳しやすいタイミングになります。食べムラや偏食がある場合でも、身長や体重が成長曲線に沿って順調に伸びていれば心配いりません。

④母乳以外の水分が取れるようになってから

 離乳食が順調に進んでいたとしても、母乳でしか水分が取れないうちは断乳ができません。ミルクに切り替える場合は、ミルクがしっかりと飲めていれば問題ありません。ストローマグやコップ、ストローなどを使って飲み物が飲めるようになっていることも、断乳できる目安の一つです。

2) 断乳の方法の選択

 断乳の方法として、少しずつ母乳を晴らして断乳させる方法と、時期を決めて赤ちゃんにいい気かせ、その日から授乳はせず断乳させる方法があります。

①少しずつ減らす方法

 離乳食の進み具合に合わせて少しずつ減らしていくとスムーズです。最初は離乳食後のおっぱいを止めることから始めてみましょう。

 少しずつ減らしていく方法のデメリットとして、授乳時間、授乳回数ともに徐々に減らさないと、乳房トラブルを起こしやすいことです。一度に減らしすぎるのではなく、まずは1回から減らすことから始めます。

②いい聞かせる方法

 時期を決めて言い聞かせる方法は、ある程度ママのいうことがわかる年齢、1歳~1 歳半ごろに有効です。断乳の日まではたっぷりとおっぱいをあげながら、おっぱいとバイバイする時期を言い聞かせます。子どもの心の準備ができるよう、なるべく断乳の1か月以上前に、ゆとりをもってスタートすることがよいとされています。断乳の日が来たら、キッパリと授乳をやめることが大事です。



3)おっぱいのケア

 いきなり断乳をすると、乳腺炎などのトラブルが起きやすくなります。そのため、断乳中のおっぱいケアは重要です。

①圧抜き(母乳をしぼる)の方法

 断乳中に乳房がパンパンに張って痛みを感じる場合は、適度に母乳を搾る必要があります。圧抜きを行う時には、おにぎりをにぎるように、乳房を両手で優しく包み込み、圧迫しながら母乳を搾ります。

②圧抜きのタイミング

 おっぱいの張りを感じたタイミングですぐに圧抜きをするのではなく、張りが強く痛みを感じるタイミングで圧抜きをすることがいいとされています。母乳が溜まっている状態が続くことで、「母乳を作る必要はない」と体に知らせる必要があります。

③注意点

 搾乳機などで搾りすぎてしまうと、母乳をさらに作り出すホルモンが分泌されてしまいます。また、搾るときは乳頭部分を刺激しないようにしましょう。

④それでも痛いときは

 おっぱいを冷やすと、張りが少し楽になります。冷やすときは、冷えピタを張ったり、保冷剤をタオルで包んでおっぱいにあてるようにしましょう。

4)  メンタルケア

 断乳という選択をしたママは、辞めると選択した自分に対して責める気持ちや、周りから批判されることをかもしれないと思っていることがあります。そのような思いを軽くするために、相談に来たママとしっかりと話し合うようにしましょう。

 話し合いのポイントは「母乳をやめることについての母親の気持ち」「母乳をやめることで母親が期待していることとその妥当性」「子どもの月齢とニーズの強さ」「さまざまな断乳・卒乳の選択肢の提示」です。

 ママの気持ちを尊重しながら、母乳育児をやめたいと考えた理由を聞きましょう。ママ自身が選択に迷っていると、その気持ちが子どもへ伝わり、断乳がすんなりと進まないこともあります。そのため自信を持った選択ができるような関わりをすることが大切です。


断乳は始めてすぐに結果が出るものではありません。また、ママ一人で断乳と向き合うことは、身体的にも精神的にも負担がかかります。そのため、家族のサポートを得られるようにすること、近くの助産院や病院など、おっぱいケアをしてくれる場所の情報提供を行い、ママと赤ちゃんに寄り添ったケアを行えるようにしていきましょう。

参考文献

・母乳育児スタンダード

・母乳育児専門のお悩み解決メディア

【助産師監修】断乳・卒乳の仕方|上手な方法・時期・進め方について 【公式】母乳育児向け専門ハーブティー、アロマ、マッサージオイル|AMOMA natural care通販サイト

断乳のタイミングはいつ?見極め方ややり方・断乳後の圧抜き方法を紹介 - MAMA Media

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