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妊娠期
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2025
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妊娠期

妊娠中に葉酸が必要な理由と推奨摂取量|助産師が知っておきたい保健指導の豆知識

  • 葉酸
  • 葉酸レシピ
SUMMARY
この記事でわかること
妊娠を考えている女性や妊娠初期の方にとって「葉酸」は欠かせない栄養素のひとつです。胎児の成長、特に神経管の正常な発達に必要であり、葉酸が不足すると無脳症や二分脊椎などの先天異常のリスクが高まるとされています。日本では厚生労働省が「妊娠を計画している女性には通常の食事に加えて、サプリメント等から1日400µgの葉酸摂取を推奨する」としており、これは2025年版「日本人の食事摂取基準」にも明記されています。本記事では、葉酸が妊娠中や産後に必要な理由、厚生労働省が定める最新の摂取基準、過剰摂取のリスク、食事での摂取方法について、わかりやすく解説します。
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この記事の目次
  • 1. なぜ妊娠中に葉酸が必要なの?
  • ①神経管閉鎖障害の予防
  • ②赤血球や胎児の成長に必要
  • ③妊娠中期〜後期にも必要量は増える
  • 2. 葉酸の摂取目安(2025年版 食事摂取基準)
  • 3. 食事で葉酸を摂るには?
  • レシピ①:ほうれん草とツナのごま和え(葉酸:約110µg)
  • レシピ②:アボカドと納豆のあえ物(葉酸:約130µg)
  • レシピ③:ひじきと枝豆の煮物(葉酸:約90µg)
  • 4. サプリメントの使用と過剰摂取リスク
  • 5. 産後・授乳期の葉酸摂取について

1. なぜ妊娠中に葉酸が必要なの?

妊娠中に葉酸が重要な理由について3つの視点から解説します。

①神経管閉鎖障害の予防

胎児の神経管は妊娠4週ごろ、つまり妊娠が判明するより前の段階で形成されます。この時期に母体に十分な葉酸があることで、神経管閉鎖障害(無脳症や二分脊椎など)の発症リスクが大幅に下がることがわかっています。これにより、葉酸の摂取は「妊娠前から始めること」が強く推奨されています。

保健指導のポイント:赤ちゃんの神経管はママが妊娠に気付くよりも前の段階、妊娠4週ごろから作られ始めます。そのため妊活中や不妊治療中の方へ葉酸の必要性を説明する際には“妊娠を望んでいる段階”から葉酸をとっておくことを推奨しましょう。妊娠初期の方で葉酸の摂取がまだの方には葉酸を摂取するメリットを伝え、早めに葉酸摂取を開始することを推奨しましょう。

②赤血球や胎児の成長に必要

葉酸はDNA合成や細胞分裂、赤血球の生成をサポートする栄養素です。妊娠中は胎児の成長とともに細胞分裂が活発になり、母体の血液量も増えるため、葉酸の需要が高まります。不足すると母体に巨赤芽球性貧血が生じることもあります。

保健指導のポイント:葉酸は妊娠初期の器官形成期に摂取することで神経管閉鎖障害のリスクを下げるだけでなく、赤血球をつくるのに必要な栄養素であり、妊娠中の貧血を予防する観点から妊娠初期以降も継続して摂取することが必要です。

③妊娠中期〜後期にも必要量は増える

神経管閉鎖障害の予防以外にも、妊娠後期にかけて胎児の発育が進むことで、葉酸は継続的に必要となります。血液量や胎盤の発達などに影響するため、妊娠中期以降も食事やサプリを通して十分な摂取が望まれます。

保健指導のポイント:葉酸は初期の摂取が特に大切ですが、実は中期・後期も葉酸の必要量は妊娠前よりも多く、授乳中にも摂取が推奨されています。葉酸は妊娠中〜授乳中は食事でも意識してとり続けて欲しい栄養素です。

2. 葉酸の摂取目安(2025年版 食事摂取基準)

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」における葉酸の摂取基準は以下の通りです。

状態

食事性葉酸の推奨量

追加摂取(サプリ等)

合計摂取目安

耐容上限量(UL)

成人女性

240µg

―

240µg

900〜1,000µg

妊娠前〜初期

240µg

400µg

640µg

同上

妊娠中期〜後期

240µg

240µg

480µg

同上

授乳期

240µg

100µg

特に妊娠前〜初期には、サプリメントでの追加摂取が神経管閉鎖障害の予防に有効とされています。

3. 食事で葉酸を摂るには?

葉酸は加熱や水に弱いため、調理法にも工夫が必要です。以下は、葉酸を多く含む食材を使った、夕食に一品加えやすい小鉢レシピです。

レシピ①:ほうれん草とツナのごま和え(葉酸:約110µg)

【材料(2人分)】

  • ほうれん草:1/2束(約100g)
  • ツナ缶(水煮でも油漬けでも可):1/2缶
  • 白すりごま:大さじ1
  • 醤油:小さじ1
  • 砂糖:ひとつまみ

【作り方】

  • ほうれん草をさっと茹でて冷水にとり、水気をしぼって切る。
  • ツナの油を切り、調味料とともに全体を和える。

    ポイント:加熱しすぎずさっと火を通すことで葉酸の損失を防げます。

レシピ②:アボカドと納豆のあえ物(葉酸:約130µg)

【材料(1人分)】

  • 納豆:1パック
  • アボカド:1/2個
  • 醤油:小さじ1/2
  • レモン汁:少々
  • のり:適量

【作り方】

  1. アボカドを角切りにし、レモン汁をかける。
  2. 納豆と和え、上からのりを散らして完成。

    ポイント:火を使わずすぐに作れる栄養満点の一品です。

レシピ③:ひじきと枝豆の煮物(葉酸:約90µg)

【材料(2人分)】

  • 乾燥ひじき:大さじ1(戻して約30g)
  • 枝豆(冷凍むき実でも可):50g
  • にんじん:1/4本(細切り)
  • ごま油:小さじ1
  • 醤油・みりん:各大さじ1/2
  • だし:100ml

【作り方】

  1. ごま油でにんじん・ひじきを炒め、枝豆と調味料を加える。
  2. 弱火で7〜8分煮て完成。

ポイント:作り置きにも向いており、冷蔵保存可能です。


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4. サプリメントの使用と過剰摂取リスク

最近、葉酸の「過剰摂取」に対する懸念も高まっています。従来は不足によるリスク(神経管閉鎖障害など)が強調されてきましたが、近年ではサプリメントの普及に伴い、必要以上の摂取が問題視されるようになってきました。特に合成葉酸を高用量で長期間摂取することにより、ビタミンB12欠乏の症状を覆い隠してしまう恐れや、一部でアレルギーや発達リスクの上昇が指摘されています。そのため、葉酸は「不足にも過剰にも注意すべき栄養素」として、適量の管理が求められています。

妊娠初期には吸収率の高い合成葉酸(モノグルタミン酸型)をサプリで補うことが勧められます。ただし、サプリメントを併用する際は、耐容上限量(UL:900〜1,000µg)を超えないように注意が必要です。

過剰摂取によるリスクには以下のようなものが報告されています。

過剰摂取による母体へのリスク

  • ビタミンB12欠乏の発見が遅れる
  • 亜鉛の吸収が妨げられる

過剰摂取による児へのリスク

  • 一部研究でアレルギーや小児喘息リスクが上昇すること指摘されている

5. 産後・授乳期の葉酸摂取について

産後や授乳期においても葉酸の摂取は大切です。授乳によって赤ちゃんに栄養を届けるほか、産後の子宮回復や造血作用にも関与します。推奨される摂取量は、食事由来の240µgに加えて、サプリメントなどから100µgを加えた合計340µgが目安です。

産後は忙しく、食事が乱れがちになるため、簡単に作れるレシピや低容量の葉酸サプリを活用していくとよいでしょう。

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葉酸は妊娠前から産後まで欠かせない栄養素です。妊娠初期には特にサプリメントによる400µgの追加摂取が神経管閉鎖障害の予防に効果的とされ、厚生労働省でも推奨されています。妊娠中期以降や授乳期にも適切な摂取量があり、日々の食事からの葉酸摂取に加えて、必要に応じてサプリメントを活用することが大切です。一方で過剰摂取にはリスクもあるため、耐容上限量を守り、バランスの取れた栄養管理を心がけましょう。安心して妊娠・出産・育児を迎えるための備えとして、今日から葉酸を意識した生活を始めてみてください。

引用・参考文献:

・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」

・厚生労働省e-ヘルスネット「葉酸」

・病気がみえるvol.13栄養学

・らでぃっしゅぼーや「葉酸レシピ特集」

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